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電気工事士のための通信ネットワークQ&A  6月号サポートページ

電気工事士のための通信ネットワークQ&A  6月号サポートページ

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紙面が白黒ですので、カラーの図を、ここにアップします。

下図は、LANケーブルの工事で、ありがちな 対分割の不具合の図です。

正しい接続のケーブルと対分割のケーブル
正しい接続のケーブルと対分割のケーブル

 

 

 

 

 

対分割(ペア割れ、スプリットペア)は、LANケーブルの成端(コネクタなどの器具の取り付け)の誤りにより、発生する不具合です。上記の例の場合、本来であれば、1-2、3-6をツイストペアにする必要がありますが、対分割の場合、3-6のペアがばらばらになっています。対分割の状態でも、電気的な(直流的な)接続では問題が無いと考えやすいのですが、漏話(クロストーク)の影響が大きくなり、ノイズに弱くなり、不具合の元となります。
(このあたりの話は、7月号で続きを書きます。)

 

 

対分割の不具合は、安価なLANチェッカー(導通をチェックするだけ簡易な検査機)では、検出できません。

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このような、LANチェッカーは、直流的に導通をはかるだけなので、対分割を検査できません。

対分割を検査できるLANテスターには、有名なところでは、紙面で紹介した、フルーク社のCablelQや、DSX-5000 CableAnalyzerなどがあります。

下の写真は、CablelQです

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アダプタと本体の間にLANケーブルをつないで測定します

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正常な、接続(ワイヤーマッピング)の場合

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対分割のケーブルの場合(例)

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不正なクロス接続の例

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ここでは、米フルーク社のCablelQを紹介しましたが、国産のLANテスターでも、対分割に対応している機種が、複数あります。LANテスター 対分割 ペア割れ などのキーワードで検索してみてください。

また、LANケーブルや固定配線の、「検査」だけでなく、カテゴリ(またはクラス)の認証が必要なときは、さらに高度な、測定器が必要となります。

有名なところでは、フルーク社のDSX-5000 CableAnalyzer やDTX CableAnalyzer(旧製品)などがあります。

写真は、旧製品のDTX CableAnalyzerです。

米国FLUKE社DTX-1800で市販のカテゴリ6ケーブルをテスト
米国FLUKE社DTX-1800で市販のカテゴリ6ケーブルをテスト

 

 

 

 

 

 

 

このクラスになると、ケーブルの配線の検査だけでなく、きちんと規格に合っているか、認証を取ることができます。

フルーク社のページに詳しい解説がありますので、は、http://www.flukenetworks.com/content/copper-jp/basic を参照してくだい

7月号でも、対分割などのLANケーブルの工事に伴う不具合を記事にする予定です。

 

〔新連載〕電気工事士のための通信ネットワークQ&A 開始しました

月間「電気と工事」にて、
〔新連載〕電気工事士のための通信ネットワークQ&A 始まりました。
ここでは、紙面の補足情報などを提供していきます。
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4月号 補足事項
LANケーブルに使用される、”より対線”(ツイストペアケーブル TP)について
LANケーブル(ツイストペアケーブル)の心線には、色があります。白黒の紙面ではわからないのでカラーの写真を下に、掲載します。
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上から 、
  • カテゴリ5E (通称STP) F/UTP (撚り線のTP)
    カテゴリ6 UTP  (撚り線のTP)
    カテゴリ5E UTP  (単線のTP)
    カテゴリ5E UTP  (撚り線のTP)
です。
なお、撚り線のTPとか、単線のTPとか書いていますが、
電気用の電線と同じように、絶縁電線の芯材には、
撚り線(stranded wireストランデッド・ワイヤ )
と、
単線(solid type cable wireソリッド・タイプ・ワイヤ)
があります。
撚り線の撚り対線と書くと、ややこしいので
撚り線のTPと書いています。
・STPついて
STP(Shielded Twisted Pair、シールデッド・ツイステッド・ペアー)は、
その名のように、シールド付きのケーブルですが、
正確には、シールドを行う箇所や、シールドの素材の違いにより細かく分類されてています。
シールドを行う箇所は、ケーブル全体に対して、シールドを行う(8本4ペアのケーブルの場合、4ペアをまとめて、全体をシールド)するタイプと、
ケーブルの中の”より対線”(TP)ごとに、シールドを行う(8本4ペアのケーブルの場合、1ペアごとにシールド)タイプがあります。また、その両方の箇所でシールドを行うタイプもあります。
また、シールドの素材は、
アルミホイルを巻く方法(ホイルシール)や細い電線を編んで線材を包む方法(編組シールド)が、あります。
ホイルシールした”より対線”(TP)をFoilded TP(FTP)
編組シールドしたものを、Shielded TP(STP)と呼びます。
このあたりの、細かいことは、紙面にて、後日書く予定です。
・LANケーブルの心線の色
先ほどの写真のように、LANケーブルの心線は
白橙、橙、白緑、青、白青、緑、白茶、茶
の8本があります。
※なお、古いタイプのカテゴリ3ケーブルは、色が違うので
注意が必要です。
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そのつなぎ方は、2種類あるのですが、
その話は5月号で、お話します。

「IoT/M2Mのセキュリティ ~こんなはずじゃ!orz になる前に知っておきたい IoT/M2Mの落とし穴~」

2016/2/11 オープンハードカンファレンス 2016 Tokyo/Winter
での講演資料をスライドシェアにUPしました

「IoT/M2Mのセキュリティ ~こんなはずじゃ!orz になる前に知っておきたい IoT/M2Mの落とし穴~」
http://www.slideshare.net/yukiokubo169/iotm2morz-iotm2m

IoT/M2Mのセキュリティは、通常の情報セキュリティに加え、リアル世界のセキュリティも必要となります。ITの世界に近い、レイヤの高い部分(クラウド上のデータベース…ビッグデータのストレージや分析等)のIoT/M2Mのセキュリティに関しては、最近、語られることが増えていますが、レイヤの低いデバイス(センサーノード)や、それをつなぐ無線や通信の部分のセキュリティもまだまだで、これからの感じです。
また、可用性の面から考えると、デバイスとクラウドをつなぐ”要所”であるはずの、
無線PANや通信プロトコルに関しても、試験環境では動作しても、規模が大きい環境でうまく動作するのか?2.4GHz帯などの電波が混雑している状態で、まともに通信できるのか?
いろいろと問題がありそうです。
それに加えて、フィールド(屋外)にデバイスを配置するとなると、大自然の脅威を受けたり、多くの課題がありそうです。

このような内容に、ご興味があれば、スライドシェアのスライドを見てくださいませ。

2015年 ご愛顧ありがとうございました

2015年も、多くのセミナや執筆のお仕事を頂き、ありがとうございました。
 以下に、公開可能な案件をまとめて、おきました。

 ■■オープンセミナー

■大阪市南港ATC イメディオ
・1/6  話題の小型パソコン基板Raspberry Piで電子工作入門
 開催レポート http://www.imedio.or.jp/seminar/report/140827.php
・6/3 IoT・ M2Mセミナ
  話題の「IoT・M2M」って何?
   ~この強力かつ広範囲な概念をいろんな角度から 眺めよう
         http://www.imedio.or.jp/seminar/report/150521.php  
   セミナ資料(スライド)http://www.slideshare.net/yukiokubo169/io-tm2mweb

■しまね産業振興財団 
・8/11 EMC/組込み技術講座 
    CPUボードRaspberryPi2 の導入とそれを制御に活用するための方法
     http://www.joho-shimane.or.jp/docs/2015071000017/

■滋賀県産業支援プラザ
・12/9  M2M/IoTとは何か? 「モノのインターネット」で変貌する世界の今と未来
    http://www.shigaplaza.or.jp/itseminar20151209/ 
   セミナ資料 http://www.slideshare.net/yukiokubo169/m2miot-56000250

■日経NETWORKセミナー
・12/04 パケットキャプチャー使いこなし講座
     http://coin.nikkeibp.co.jp/coin/itpro-s/seminar/nnw/151203/
・2/2、6/19、12/03 パケットキャプチャー入門講座  
     http://coin.nikkeibp.co.jp/coin/itpro-s/seminar/nnw/151202/

■  共立電子 
・11/21・22 第2種電気工事士講座   
     http://keic.jp/semi/denko/index.html

■  ■  雑誌連載
・日経NETWORK誌 http://itpro.nikkeibp.co.jp/NNW
 連載中の ネットワーク実験室 連載100回になりました。

・電子工作マガジン
 初心者向け電子工作、IchigoJam(イチゴジャム)の電子工作など 連載中

その他、IT教育コンテンツ等多くの仕事を頂き、ありがとうございました。 

日経NWTWORK 2015年11月号発売になりました

日経NETWORK 2015年11月号 発売

日経NETWORK2015年11月号
日経NETWORK  2015年11月号

今月号は、連載記事の「ネットワーク実験室」に加え、 特集2「Wiresharkで無線LANトラブルシューティング」を担当しました。 最近は、スマホやタブレットの普及で、無線LANのトラブルシューティングの機会が増えているかと思います。有線LANのパケットキャプチャでは、オープンソースのWiresharkが有名ですね。Wiresharkでも、 無線LANのパケットのキャプチャができます。 特に、無線LANの場合、電波状況やIEEE802.11無線LANフレームなど低いレイヤの情報が必要になることも多いです。 しかし、Windows版のWiresharkの場合、特殊なアダプタを使わないと、IEEE802.11フレームそのままの姿でキャプチャすることができません。 そこで、linux版のWiresharkを使うと、条件はありますが、IEEE802.11フレームやラジオタップヘッダと呼ぶ無線の情報をキャプチャすることができます。 この特集では、Wiresharkを使った無線LANのキャプチャの方法や、Windows版とlinux版のWiresharkの違い、Wiresharkを使った無線LANのトラシュー事例などを書いています。 連載の「ネットワーク実験室」は 「ドローンが飛ぶ上空の電波状況を調査せよ!」です なにかと話題のドローン(空飛ぶマルチコプター)の中には、2.4Ghz帯ISMバンドの無線LANを使って機体のコントロールをしたり、動画の無線伝送を行うタイプがあります。しかし、街中では、建物内外の無線LANのAP(アクセスポイント)が山ほどあり、それが2.4Ghz帯ISMバンドの混雑の一因となっています。そこで、上空のドローンから、2.4Ghz帯の無線LANを見ると、地上のAPがどれほど、検知できるのか、実験してみ…たかったのですが、9月の法改正で、街中でドローンを飛ばすことはできなくなりました。そこで、代わりに高いところ、高いビルの展望台から、無線LANのツールを使って、無線LANのAPの数や電波の強さを調べました。はたしてその結果は…

高いビルで無線LANを観測
高いビルで無線LANを観測

          日経ネットワークhttp://itpro.nikkeibp.co.jp/NNW/ は 、大きな本屋さんで店売しているところもあります。 見かけたら、手に取って頂ければ、幸いです。        

ベーマガ01(電子工作マガジンNo.26)掲載「止まったらOUT」について

ベーマガ01こと、電子工作マガジンNo.26(2015年春号)掲載の 「止まったらOUT」について、いろいろと ご意見を頂きました。 PIC_0099 「数字キーを使うと、ゲームオーバーの後、2とか6とかの文字が残り、その後にRUNを入れると 2 RUN とかになり、プログラムが崩れるので不便では? カーソルキー、やJKIMなどのキーの方が良いのでは?」とのご意見を 頂きました。

実は、意図的に、キャラの移動に数字キーを使っております。
上記のように、ゲームが終わって、その後に、RUNを入れると、「 2 RUN」 などとプログラムにゴミが入って、 動作しなくなる場合が良くあります。
これは、面倒な問題なのですが、誌面に掲載のリストでは、あえてそれを残しています。

こどもさんが、操作していて、プログラムが崩れた場合は、「LIST(RET)とすると、ゲームのプログラム(処理の順番をコンピュータに解る言葉で書いたものね) を見ることができるよ。ここに、要らないものがあるから、これを消せば プログラムを直すことができるよ。」 と、LISTコマンドで プログラムリストを見せてあげることができます。

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小学生の高学年であれば、2 RUN や 22 RUN などの要らない行を見つけ、RUNをバックスペースやDELキーで消す こともできます。(人によりますが)

それを、通じて、
・コンピュータってプログラムと言うもので、動いていること
・コンピュータのプログラムに間違い(バグ)があると、正しく動かない
・(BASICインタプリタの場合)その間違いを、見つけることができれば、
それを直すことができる。
などのことを、伝えることができます。

また、低学年の子には、「LOAD (RET)と、押せばいいよ」と、 LOADコマンドで 、プログラムが新しく入ることを、伝えることができます。
このように、プログラムが崩れ、不具合が出ることにより、 ゲームのプログラムを意識できるようにしています。

なお、今回、ベーマガ向けのプログラムを作るにあたって、
次号以降の投稿のサンプルになることを意識して、以下のことを考慮しました。

1)シンプル に。
小学生低学年の子に、1分で操作方法(ゲームの遊び方)説明ができる。
2)プログラムがわかりやすい
プログラムのコメントが書きやすい
フローチャートも書きやすい
3)移植、改造がやりやすい
4)敷居を上げすぎない(この程度だと、僕にも作れそうと、思ってもらえる)

それ故に、
・同じようなIF文が並んでおり、冗長では?
・もっと短く書けるのでは?
などの、ご意見がでるのも、当然です。 マルチステートメントや条件分岐に論理関数を使って、プログラムを短くすることもできますが、プログラムの流れが読みにくくなるので、避けるようにしました。

いろいろと、改良できる点が多々あると思いますの、 読者の皆さんで弄っていただければと思います。

電子工作マガジンNo.26( 2015年春号)掲載記事の補足(オーディオ)

電子工作マガジンNo.26( 2015年春号)掲載
オペアンプ取っかえ!引っ替え!「見える化」大実験!
の記事の補足情報です。

ベーマガ復活!(コーナー)で、品薄状態の電子工作マガジンNo.26( 2015年春号)ですが、Ichigojam以外にも、いろいろと執筆しております。

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オペアンプ切り替え可能 ポータブルヘッドフォンアンプ KP-HAMP61

同記事は、共立電子産業の「オペアンプ切り替え可能 ポータブルヘッドフォンアンプ KP-HAMP61」を使って、オペアンプの種類により、音が変わることを、フリーの音楽再生ソフトfoobar2000の spectrogram機能を使って、見える化してみよう!と言う内容の実験記事です。P.111の写真6の矢印(↓)の位置が、ずれて、掲載されていますので、本文と写真6のつながりが良くわからない状態になっています。そこで、本来の図を下に掲載させていただきます。

オペアンプ比較ネタ図修正

よく、「オペアンプを変えて、音が本当に変わるの!?」「単なる思い込みじゃないの?」とかの、話もききますが、今回、3つのOPアンプで調べたところ、このように、僅かですが、foobar2000の spectrogram機能で、違いを観測することができました。

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実験方法は、PC上の音源(CDのデータ)を、オーディオインタフェースでアナログに戻して再生し、オペアンプ切り替え可能 ポータブルヘッドフォンアンプに入力。そのアナログ出力を、ハイレゾ対応ICレコーダーでハイレゾ(96kHz/24ビット)で録音。そのデータを、foobar2000で再生し spectrogram機能
で、表示させて、音を見える化しています。その作業を、3つのオペアンプを切り替えながら、比較しています。詳しくは本誌をご覧ください。

 

(新)ベーマガこと、電子工作マガジンへのプログラムの投稿について

先週から「(新)ベーマガこと、電子工作マガジンへのプログラムの投稿は、IchigoJam 以外もOKなの?」と言う質問を多く聞きます。

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そこで、編集長に確認すると 「当面は、Ichigojamのみの投稿を受付けましょう。」 「他の機種は、徐々に」 とのことです。 他機種や各種のエミュレータなどのニーズもありそうですが、 現在、昔のベーマガの仕事に携わっていた人も、社内で 電子工作マガジン編集長(元ベーマガ編集長)だけの状況ですので、人材が居ないのが現状の様です。 ※公式ホームページが、都合により更新が止まっているのも、マンパワー不足のためでしょう。

電子工作の投稿も歓迎

なお、「電子工作マガジン」ですので、BASICプログラムだけではなく、 Ichigojamを活用した電子工作、その他電子工作、ハム、ラジオ、オーディオ等の 投稿も歓迎のようです。 お問い合わせ、投稿先は、 web@denkomagazine.net です。 よろしくお願いします。

電子工作マガジンNo.26( 2015年春号)掲載記事の訂正

319日に電子工作マガジンNo.26( 2015年春号)が発売され、そのなかに、2ページだけですが、マイコンBASICマガジンが復活しております。ネットでも、大きな反響があり、通販サイトや書店で売り切れ店も続出するなど、想定外の反響に驚いています。まことに、ありがとうございます。

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昨日、大阪・日本橋ストリートフェスタ・ものづくり会場にて、お会いした人に、Ichigojamとシリアルの接続方法についての記述の不備を、ご指摘を頂きました。現在、出版社の事情により、電子工作マガジンの公式WEBサイトの更新が止まっており、正誤情報を提供できません。そこで、このサイトで、公開したいと考えます。

 

電子工作マガジンNo.26 P.66の第1図

 下記の図の1(上)のように、TXDRXDをクロスする必要があります。

イチゴジャム追加改

本誌で、紹介しているUSBシリアル変換(TTL-232R-3V3およびAE-FT234X)をIchigojamをつなぐ場合は、IchigojamUSBシリアル変換側の、TXDRXDをクロスする必要があります。また、P.66下の記述も「IchigoJamRDXTDXGNDTTL-232R-3V3TDXRDXGNDに接続します」が正しい記述となります。なお、内部でRDXTDXがクロスしているモジュールの場合、本誌の図と同じ接続になります(図の2)。

御迷惑をおかけ、もうしわけありません。

追伸 (ネットワークオーディオ)なぜ、普通のカテゴリ5EのLANケーブルを推奨しているのか?

記事を公開後、いろいろな意見を頂きました。その中には、「オーディオ的には、はやり、カテゴリ7などのシールドケーブルを使うべきだ」とのご意見もありました。その中には、アナログ領域の話と、デジタル領域を混同されている方や、TCP/IPのデータ伝送とUDP/IPのデータ伝送を混同されている方もおられました。

例えば、「LANケーブル中でのノイズ等により、1と0のビットが化けると、デジタル伝送であっても、ノイズになるはずだ。だから、ノイズに強いSTP(シールド付のLANケーブル)を使用するべきだ」との、意見もありました。たしかに、UDP/IPで伝送するVoIP(IP電話)では、イーサネットLAN(OSIのレイヤ1及びレイヤ2)のレベルでビットエラーが発生すると、LANのフレーム(パケット)そのものがFCSチェックにてエラーとなり、NICで捨てられ、1フレーム分のロスが発生し、ノイズまたは、無音になる場合があります。しかし、これは、IP電話やTV会議システムなどの音声デジタル伝送の話であって、通常のPCオーディオでは、DLNA(Digital Living Network Alliance)を使っており、音楽データの再生にはTCP/IPを使っている実装がほとんどだと思います。TCP(OSIのレイヤ4)は、伝送エラーが発生すると、自動的に再送し、ビットパーフェクトなデータ伝送を行ないます。これは、LAN(レイヤ1,2)やIP(レイヤ3)において、エラーが発生しても、自動的にエラーを修正することを意味します。また、受信したデータは、バッファメモリに蓄えられ、圧縮していないWAVデータの場合は、使用している音声符号化方式(コーディング)のサンプリング周波数に合致する一定周期で、データを呼び出し、DA変換されます。バッファに溜まっているデータを読み込みますので、多少のLAN(レイヤ1,2)やIP(レイヤ3)においてエラーが発生しても、すぐさまノイズや無音などの不具合はでないはずです。但し、TCPでのエラー訂正が間に合わないほど、LANやIPでの伝送にエラーが連発すると、データ伝送が間に合わずバッファのデータが枯渇してしまい、その結果不具合が出る場合があります。(特に2.4GHz帯の無線LANの場合、電波が混雑しやすいので、この現象が発生しやすいです。)言い換えると、バッファのデータが枯渇せずに、バッファに一定量以上のデータ溜まっている場合、データを読み込みが安定し、定周期でDA変換できます。そのため、デジタル領域では、ビットパーフェクトな伝送になり、ノイズ等の発生は無いと考えます。

STPの問題点
有線のLANの場合、シールド無しの普通のLANケーブル(UTP)を使うと、パルストランスにより、絶縁しますので、ノイズの伝搬はすくないものと考えられます。しかし、シールド付のSTPを使うと、シールド線を介して、ルータ、L2スイッチ、NAS等などのネットワーク機器のGNDと、ネットワークオーディオプレーヤーのGNDが繋がることになり、ネットワーク機器のノイズを、オーディオプレーヤー側で拾ってしまい、アナログ領域で影響が出る可能性があります。STPケーブルは、両端でGNDを取って、はじめて有効なシールド効果を発揮しますが、片端だけGNDを取り、もう一方はGNDを取らない場合、アンテナの働きをすることがあり、シールドラインから、外来ノイズを拾う可能性があります。注意して頂きたいのは、現在市販されている家庭用のブロードバンドルータや無線ルータは、ほとんどがSTPに未対応である点です。これは、雷害時に、ルータからPCや他の機器への影響を下げるためだと、思います。なお、STP対応、未対応は、ルータのLANの口の周りが、樹脂ならSTP未対応、LANの口が金属ならSTP対応です。) STP未対応のルータに、ネットワークオーディオプレーヤーからSTPケーブルで接続すると、前述したように、正しいGND接続とならず、ノイズをもらう可能性あります。また、ルータが無線LANのアクセスポイント機能を持つ場合、無線の回路からのノイズを、STPケーブルが拾うことなり、それが、ネットワークオーディオプレーヤーに回り込み、アナログ領域でのノイズなる可能性が考えられます。これは、日経NETWORK誌※の実験記事でも書いた状況と、同じ状況となります。 ならば、STPケーブルとLANアイソレータの組み合わせなら!と言う意見も、耳にしますが、筆者は、LANアイソレータを使ったことがありませんので、何とも言えません。もしかすると、ノイズが減るのかもしれませんが、私には、わかりません。

以前にも書きましたが、ネットワークオーディオでトラブルが出ている方は 高価なLANアイソレータや高価なケーブルを使う前に、すべてのLANケーブルを普通のシールド無しのLANケーブルに変えて、またルータとネットワークオーディオプレーヤーの間に100BASE-TX対応の普通のL2スイッチ(スイッチイングHUB)を入れて、ネットワーク機器として正しい状態に戻してみることをお勧めします。(もちろんIPの設定は正しい状態で)
オーディオとしての、チューニングは、その後のお楽しみとして。

※日経ネットワーク 2013年8月号 試せば理解が進む ネットワークなんでも実験室 ネットワークオーディオに雑音が混じる原因を突き止めろhttp://ec.nikkeibp.co.jp/item/backno/NN0160.html

概要:カテゴリ7のSTPケーブルをJJコネクタ(延長用コネクタ)でシールド無しのLANケーブルとつないで、不適切なSTPケーブルの使い方を行うと、無線LAN機器のノイズを拾って、アナログ領域でのノイズが音として聞こえる発生することを、実験で確かめた。
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