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なぜ、普通のカテゴリ5EのLANケーブルを推奨しているのか?

前回のネットワークオーディオのトラブルに関する投稿について、
「なぜ、普通のカテゴリ5Eを推奨しているのか?」「その根拠は?」
とのご質問を受けました

ネットワークオーディオというよりも、通信ネットワークの観点から考えると、現在主流の10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-Tを使う場合、カテゴリ5Eケーブルで十分で、カテゴリ6以上を使う必要がありません。ましてはカテゴリ7として市販されているRJ45を使ったLANケーブルは、カテゴリ7の規格を満たしていません。また、市販のカテゴリ6以上のケーブルも、その規格を満たしていないものが多く販売されているのが実状です。
昨年、雑誌記事の企画で、市販のLANケーブルが規格に合っているかを、プロ用のLANケーブルテスターを使って調べる機会がありました。

カテゴリ5E~7? ケーブルのテスト
カテゴリ5E~7?
ケーブルのテスト

この記事の執筆のため、
米国FLUKE社DTX-1800をお借りして、パソコン店で市販しているLANケーブルが、該当するカテゴリに準拠しているかをテストしました。(パッチコードテスト)

結果は、カテゴリ5Eは、多くのメーカの製品でOKでましたが、残念ながら、カテゴリ6、カテゴリ6Aは、大手メーカを含めほとんどの製品がNGでした。私が測定した市販ケーブルの内、合格したのは1社のみでした。

米国FLUKE社DTX-1800で市販のカテゴリ6ケーブルをテスト
米国FLUKE社DTX-1800で市販のカテゴリ6ケーブルをテスト

なお、市販のカテゴリ7?ケーブルは、そもそもカテゴリ7がRJ45を使う規格ではないので、「規格に合っているか?」の以前の問題であり、試験もできません。当然ながら、FLUKE社DTX-1800もテストに対応していません。ちなみに、下位のカテゴリで調べたところ、カテゴリ6Aはおろか、カテゴリ6でもNGとなりました。あまりにも、結果が酷いので、製品不良の可能性もあるかと思い、もう全く同じケーブルを購入して試験しましたが、同じ結果でした。あまりにも残念なのですが、このような製品が、1mのケーブルで定価が2000円弱で販売されています。

要は、表記の規格を満たしていない可能性が高い、だけど、高価なカテゴリ6以上のケーブルを使うよりは、下位グレードであるが、その規格を満たしているカテゴリ5Eのほうが、通信ネットワークの観点から言うと、必要十分で、安心して使えるかと考えます。

なお、前回も書きましたが、ネットワークオーディオのトラブルは、LANケーブルやIPアドレスの設定不具合によるものが多いかと思います。ネットワークオーディオを正常に機能させるには、「オーディオ」以前に、通信ネットワークを正常に機能させる必要があります。そのためには、まずは高価なLAN ケーブルではなく、シールドがない普通のカテゴリ5EのUTPケーブル用い、IPアドレスの割振り(設置するネットワーク環境に合わせたアドレスの設定)を行うなど、通信ネットワークとして基本的なことを、確認して頂けたらと思います。